90回京都大学丸の内セミナー

サハリン・樺太から見る東アジアの
150年:国境と国民の時代の境界地域

平成3012日(金) 1800より

中山大将 (東南アジア地域研究研究所 助教)

ヨーロッパで17世紀以降発達した「国境」や「国民」の概念と秩序は、その後世界各地へ浸透し、ポスト・モダンやグローバル化という言葉になんの新鮮味もなくなった現代においてもなお、国際秩序や国内制度の枠組みとして厳然と機能し続けています。

 近現代において国境などの近代的「境界」に接していたり、あるいはその変動を何度も経験した「境界地域」は当然のことながら東アジアにも存在しています。北海道の北にある南北に細長い島、サハリン島は南半分がかつては日本領「樺太」であり、日露間で5度も境界が変動した境界地域です。そして、境界変動が起きるたびに「引揚げ」や「移住」、「残留」が繰り返されてきました。

 今回のセミナーでは、サハリン島に暮らした住民の経験を中心に、ほか地域との比較もふまえながら、東京視線ではなかなか見えてこない東アジア近現代150年の歴史のもう一つの側面を眺め直してみたいと思います。

サハリン州郷土博物館(旧・樺太庁博物館)

樺太庁中央試験所の"東亜北方構想"

戦後サハリンの人口移動概略図

サハリン島北緯50度線(旧・日露国境)の記念碑