81回京都大学丸の内セミナー

生存圏を支える微生物~根圏微生物の機能を活用した食料生産~

平成29日(金) 1800より

杉山 暁史(生存圏研究所 准教授)

世界の人口は今世紀中には90億人を超えると予想されています。近代農業では大量の肥料が投入されてきましたが、エネルギー資源の枯渇や富栄養化等の問題のため、肥料の使用を削減しつつ収量を高めた持続可能な農業を確立することが重要です。

人類の生存に必要な空間である生存圏には多種多様な微生物がいますが、その中で植物の根の近傍領域である根圏に住む微生物の中には根粒菌や菌根菌という植物の成長(土壌からの栄養分の吸収)を助けてくれる微生物がいます。

さらに近年の解析技術の進歩により、根圏に住む何億もの微生物がコミュニティーを形成して植物と相互作用することが明らかになってきました。この微生物コミュニティーは植物の成長に、農業的な観点では病害抑止や収量向上にも関わると考えられています。

本講演では、これら根圏に住む微生物の働きや、様々な代謝物を介した根圏での生物間コミュニケーションを紹介するとともに、根圏微生物の機能を活用した持続可能な食料生産を考えていきます。